鷲尾レポート

  • 2024.10.25

投票日まで2週間、米国大統領選挙の現状は…(4/5)

両候補の打ち出した政策;対立軸比較

基本スタンス:ハリスは、原則、バイデン政策を継承VSトランプは第一期トランプ政権の政策を蹈襲。

ハリスはトランプを、「過去の米国の代弁者」と決めつけ、自らを「未来のアメリカに向けた推進者」と規定。

トランプはハリスを、「経験不足のリベラル派、無能」と切り捨て、バイデン政権下で起こった経済や不法移民の増大などを、ハリスの所為に帰着させている

両候補の政策の対立軸

        ハリス           トランプ

対外姿勢:多国間主義・同盟重視      America First,
法の支配            力による平和
外交軸:  Small Yard , High Fence      対中強硬姿勢

(ウクライナ支援、パレスチナに同情)VS(ウクライナ和平交渉、イスラエル支持)

***Harris has vowed to support UKRAINE for as long as it takes, She has pledged, if elected, to ensure the US and not China wins the competition for the 21st century.
She has been a longtime advocate for a two-state solution between the Israelis and Palestinian

***Trump has an Isolationist foreign policy and wants the US to disentangle itself from conflicts elsewhere in the world.(Source; BBC)

国内施策の重点対象

【ハリス】  【トランプ】
ミドルクラス VS 非大卒労働者層
女性・マイノリティー・若者 VS 富裕層・宗教保守派・反リベラル

経済政策

連邦政府の機能を最大限活用する点では、両者は同じ(トランプの立場は、従来の共和党候補の主張からは逸脱)

ハリス

年収40万ドル以上に増税、大企業に増税

Opportunity Economyの強調(3本柱:生活費抑制、起業家支援、次世代産業育成で中間層底上げ)

具体策としては

中間層減税、児童税額控除の拡大、住宅取得補助
企業時の税優遇、企業資金確保に向けた支援、バイオ、AI、航空宇宙、量子コンピューティング、ブロックチェーン等の次世代産業拠点づくり等々を重点投資分野と定め、それら分野への投資に、税優遇を与えるため、America Forward税制を新設
トランプの外国製品への大幅な関税賦課には反対(労働者家計への課税)

トランプ

自身が大統領時代に制定した、トランプ減税の恒久化、パリ協定からの再離脱、Manufacturing Renaissance(新アメリカ産業主義:製造業拠点と雇用を米国に回帰させる)、金融政策に大統領権限で介入できる余地を創る等々。

具体策としては

国内生産回帰した企業への法人税減税、外国からの輸入品への大幅な関税賦課(10~20%:中国へはもっと高率の関税を…自動車へは100%関税)
国内回帰する企業向けの特区構想

社会課題向け政策

ハリス

処方箋価格の引き下げを実績として誇り、インスリン価格に上限を設けることを主張。ハリスは犯罪多発について、自らが検事出身である点を前面に出し、裁判で告訴されているトランプとの違いを強調。銃器規制の強化。

環境問題では再生エネ促進、EV促進。しかし、嘗て打ち出していたフラッキング反対姿勢を現在では大幅に後退させている(ペンシルバニア対策)。

直近では、初めて自宅を購入居しようとする人への補助や食品価格の上昇にキャップを被せる措置の導入なども示唆。いずれも激戦州の労働者対策。直近では、半導体輸入規制を強めるとのリーク情報も…。

トランプ

麻薬カルテルの撲滅、強盗への強い取り締まり姿勢。修正憲法第2条(武器保持は憲法上の権利)を支持する旨強調、全米ライフル協会との蜜月関係。大統領時代、各種の環境規制を後退させた実績在り。

バイデン政権のEV促進を批判(自動車労組対策)、北極海での原油・天然ガス埋蔵地底探査を支持(エネルギー業界対策)

***両候補の打ち出している政策を実施した場合に想定される財政赤字幅;The non-partisan Committee for a Responsible Federal Budget(責任ある連邦予算委員会)予測(low/medium/high)の3種の予測推計

Mediumケースの場合、【ハリス】の選挙公約を実施すれば、2034年度までの累計財政赤字増加額は3.5兆ドル。対して、【トランプ】の打ち出している政策を実施した場合の想定赤字幅は7.5兆ドルにも達する。いずれも、米国経済が再び高金利経済に戻る可能性が取り沙汰される所以。

続きを読む(5/5) >>

レポート一覧に戻る

©一般社団法人 関西アジア倶楽部