日時 | 2024年2月15日(木)13:30~15:30 |
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場所 |
りそなプライベートサロンReラグゼ 大阪府大阪市北区角田町8-1(大阪梅田ツインタワーズ・ノース24階) |
講師 | 丸紅(中国)有限公司 経済研究チーム長(総監) 鈴木 貴元様 |
テーマ | 中国の今後を読み解く-経済、政治、外交など中国の視点から |
鷲尾所感
今回から、講師のご高話並びにその後の出席者との質疑の中から、主宰者として特に印象に残った点を、1~2点取り上げ、手短に紹介することにした。当該会合のやり取りの雰囲気を幾分なりと、記録に残すためである。
第65回定例会「中国の今後を読み解くー経済、政治、外交など、中国の視点からー」講師の、丸紅北京の経済研究チーム長・鈴木貴元さんは、ワシントン駐在2年半、その直後からの北京駐在も今年で8年目を迎えられ、今や国際情勢のフレームの中で中国を見ることの出来る事情通の、押しも押されもせぬ第一人者。その彼は、今回、敢えて意識的に中国の立場に立って、事情を分析するプレゼンを試みられた。
中国経済の現状は、日本のメディアが報じるほど悪くはない。自国にとって、必要なサプライチェーンは守り切った。しかし、経済の回復度合いは、中国が期待していた程には良くもない。最近では、当局は需給ギャップの悪化に悩み始めている。経済構造の中の、付加価値の低い分野では利益が出ない構造に陥りつつある。有望業種(EV、太陽光発電など)でも、過剰生産の傾向が見られる。不動産不況も深刻等など…。
そうしたプレゼンを受け、出席者からは次々と質問が発せられたが、講師は、その問題を中国は今、「こう考えている」との立場で説明された。そして、そうした姿勢が亦、出席者の質問を惹起する、討論にとっての好環境が生まれる背景となった。
そんな議論が交わされたテーマの例としては、日本と中国、どう付き合うべきか、といった類の質問が幾つかあった。例えば、日本の原子炉の汚染水排出を巡って、某出席者と講師の間でのやり取りで、面白かったのは、嘗ての日本は中国にとって、先進中の先達、中国はその先達を学びの対象として、尊んで接した。処が現状では、立場が変わり、経済や技術の分野で、先に進んでいるのはむしろ中国、というケースが増えている。そんな中国からすれば、嘗て中国がそうしたように、今の日本も、中国を先進中の先達として遇し、尊ぶ立場から接すべきだということになるが、これを汚染水処理の場合に当てはめると、日本はそんな姿勢をもっと前面に出し、IAEの検証を踏む場合にも、そのプロセスの初期段階から、もっと中国を巻き込んで、隣接するが故の中国の関心の高さに、配慮を示すなど、協議をもっと緊密に行なうべきだったのではないか…。
こうした意見に、中国をそこまで信頼できないことこそが、真の問題なのだと、詰め寄る対論者、そこにはやはり、中国に親愛感を持つ者と持たない者との、対中感情の差が現れていて、極めて興味深かった。
討議はオフレコで進められたので、上記解釈は、全て主宰者の独断であることを、お断りしておきたい。
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