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第66回

日時 2024年2月21日(水)13:30~15:30
場所 りそなプライベートサロンReラグゼ
大阪府大阪市北区角田町8-1(大阪梅田ツインタワーズ・ノース24階)
講師 大阪大学共創機構特任教授
 坂田 恒昭
テーマ 遺伝子を薬にするビジネス・モデル

鷲尾所感

関西アジア倶楽部・第66回「遺伝子を薬にするビジネスモデル」での,大阪大学共創機構特任教授坂田恒昭先生を囲む質議会、大変面白く、且つ興味深いものでした。

  1. 日本の医薬品の対外競争力は低下の一途、極端に言えば,今や日本は自動車を輸出して薬を輸入する国。
  2. 医薬品業界は、国の薬価規制で、国内の売り上げは横ばい、海外の売り上げは増加、つまり、米国で薬が売れないと商売が成り立たない仕組みになってしまっている。
  3. これまでの創薬は,20年余の研究と実証を経て創られていたが、昨今のコロナ・アクチンは新規製造に至るまで、僅か1年。
  4. 昨今のコロナ・ワクチン製造過程を見ていると、人間の身体を造っている構成物質を究明し、その情報そのものが薬になっている。
  5. mRNAワクチンの開発関連特許を見て行くと、数々の特許が相互利用されている様が分る。いわばこうしたオープン・イノベーションこそが重要。
  6. そうした視点で見ると,日本のオープン・イノベーション展開力のなさが一目瞭然。
  7. あと15年もすれば、日本では全国民のデータを統合解析し、個人データも統合化され、個別化診断・治療・予防プログラムがAI化される時代に入る。つまり、デジタルとヘルスが結合される。
  8. そんな時代に備える(そのための仕組みや規制を検討する等など)一方、受益する個々人のIT教育や医療知識の普及も不可欠等など、多くの問題も発生してくる。

以上のような指摘が講師の口から次々と飛び出し,聞いている方は、話しの展開について行くのがやっとでしたが、それでも数多くの意見が出され,活発な意見の開陳が続きました。そんな結論として,某出席者の口から出た言葉が極めて新鮮でした。

「アジア倶楽部の質議会で,これまでも多くの局面で、現在の日本が直面している問題を議論してきたが、それらの多くで日本は、対応に苦慮し,謂わば、失敗してきたように思う。この医薬の場合も然り。それら失敗の結果が,失われた30年だった。何故,日本はこうも対応にしくじり続けてきたのか…。思うに、日本の既存の仕組みが,ことごとく、試みを失敗させているのでは…」。言換えると,過去の成功体験故、既存の仕組みを捨てられず、言換えるとそれらが既得権益化し、新しい試みを阻止する方向で機能しているのでは…」

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