開催実績

第67回

日時 2024年3月19日(火)13:30~15:30
場所 りそなプライベートサロンReラグゼ
大阪府大阪市北区角田町8-1(大阪梅田ツインタワーズ・ノース24階)
講師 日本貿易振興機構(ジェトロ)ヨハネスブルク事務所長
 的場真太郎
テーマ グローバルサウスの中でのアフリカ

鷲尾所感

関西アジア倶楽部、第67回、「グローバルサウスの中でのアフリカ」、講師のジェトロ・ヨハネスブルグ事務所・的場所長のお話、非常に興味深いものでした。アフリカに何度も駐在し、現地感覚を熟知している的場さんが、所属組織の来年度の事業計画策定議論に参加するために一時帰国する。そんな機会に便乗しての、関西アジア俱楽部の「アフリカに関する、質問会」開催でした。

数多くの気付きがありました。先ず、日本企業の目がアジアに向いている中、例えば名目GDPの大きさを見ると、タイと南アフリカがほぼ同じ、ベトナムとエジプトが同規模、ミャンマーとタンザニアも同じ規模等など、そんな対比表を見せられると、日本にとってのアフリカ各国の市場価値も、極めて身近に感じられました。
亦、国連人口統計に依れば、アフリカ50数カ国の合計人口は、2020年代には中国とインドを抜き、2050年代には世界人口の4分の1に達するそうです。
米国にとってもアフリカの大国南アは、重要な貿易相手国、中国に次ぐ貿易パートナー。その米国にアフリカ成長機会法(AGOA)という法律があって、その期限が2025年に切れる由。南アは今、米国との間で、その継続交渉に力を入れ始めている云々。

米中間の競争激化や国際政治の場でのグローバルサウスの台頭を前に、アフリカへの、主要各国のアプローチも次第に熱気を帯びており、中でも中国の存在感が圧倒的に大きくなっている。中国外相は毎年年初、アフリカ外遊が恒例化しているとのこと…。 米国は2022年にアフリカ・リーダーズ・サミットを開催、ロシアも2019年に第一回ロシア・アフリカ・サミットを、2023年には第二回サミットを開いているとか…
更にEUも2022年にサミットを開催するなど、主要国はアフリカアプローチを競っています。

そんな話を聞くと、私ごとながら、2000年代末に、横浜での日本・アフリカ会議(TICAD)で、シンポジウムやアフリカ産品展、日本国内でのアフリカPR等など、幅広くアフリカを盛り上げる事業を手がけた、我が若かりし頃を懐かしく思い出してしまいました。日本も、かなり早い時期から、アフリカ諸国との間でサミット会議を持つようになっていたのですから…。

南アフリカもアパルトヘイト廃止から30年、社会には現政権への批判が高まっているとのこと。同国在住の白人層が、次第に一カ所に集団で住むようになり、当該地域の南アからの分離議論なども、彼らの中では交わされている由。故マンデラ大統領が、白人選手を含む南アのラグビーチームを応援していた映画が、懐かしく思い出されました。

的場講師の肌感覚から言うと、そんな南アでも物価が高く、人件費も安くないとのこと。その理由の一端は、日本が変わらなかった、それ故日本国内で物価が高くなっていなかった、更に円が弱くなっていた等々ですが、総じてアフリカ諸国は、食糧自給が出来ておらず、ウクライナ産の小麦が入手困難になると、ロシアが代わりに小麦を支援したとか…。アフリカ諸国を巡る大国間の駆け引きも盛んなようです。

南アでも、この5月に選挙があるそうで、2025年は、そんな南アがG20の議長国になる。米国の共和党トランプ前大統領は、選挙公約でG-20等の国際的機関へのコミットを縮小すると謳っていますが、南アが議長国になったとき、米国の大統領に誰がなっているだろうか、そんな考えがふと頭を過ぎりました。

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