開催実績

第75回

日時 2024年12月11日(水)14:30~16:30
場所 りそなプライベートサロンReラグゼ
大阪府大阪市北区角田町8-1(大阪梅田ツインタワーズ・ノース24階)
講師 株式会社日本総合研究所 調査部上席理事
 呉軍華
テーマ トランプ2.0と米中関係の行方

鷲尾所感

12月11日(水曜)の、第75回関西アジア倶楽部、如何でしたか。

講師にお迎えした日本総合研究所の呉軍華理事は、今回で2回目のご登壇でした(最初は2022年11月)。あの時のテーマは、「党大会後の中国と米中関係の展望」でした。

今回のテーマは「トランプ2.0と米中関係」。

呉理事の研究領域は、中国がメインで、サブが米国。今回テーマにぴったりの講師でした。

長年、ワシントン近郊のバージニアにお住まいになっておられた経験から、肌感覚で米国政治も良くお分かり。今回の選挙の前には、わざわざワシントンに出張されたが、その際、以前の経験との比較で、バイデン・ハリスの不利を体感されたとのこと。

例えば、昔住んでおられた、ワシントン郊外のバージニア北部などに行っても、個々人の庭に設置されている、どちらの候補を応援しているかを示す小型立て看板の数などを一瞥すると、民主党オバマ当選時とは真逆に、民主党バイデン支持・ハリス支持の看板が圧倒的に少なかったらしい。

だからといって、呉理事ご自身は、決してトランプを支持していると言うわけではないが、敢えて指摘すれば、今回の選挙は、民主党が主導していたToo Much Liberalな政治の方向性に、或る意味、米国の有権者がブレーキを掛けた要素が大きかったとの見立て。

言換えると、エリート臭漂う、民主党リベラルのお説教が有権者に効かなくなっている。その意味で、米国の政治が、或る意味では、常識の線に戻ったのだと…。そして亦、トランプが勝利したと言っても、その勝利は僅差であって、そんなところにも呉理事としては、ある種の安心感を持たれた由。有権者は、決して、Too Much Radical を欲しているのではないのだと…。

こうした米国の動きに中国はどう対応を余儀なくされるか…。米中のポスト冷戦の時代は過ぎ、今や、ポスト・ポスト冷戦時代に入った。

具体的には、平和と衝突の間、つまり冷和の、どちらかと言えば衝突寄りに、現在の米中関係は位置付けられると…。そこでの米中の関係は、本質的には価値観・制度の競争であり、真に「文明の衝突」の要素が大きくなっている。対立の、双方の動機は、「相手にも飲み込まれてしまう恐怖心」。特徴はグローバル世界の中でのブロック化。そのブロック化の方法は、デカップリングによる「和」の排除。

結果、そうしたブロック化、囲い込み化が激しくなるが、逆にその分、代理戦争による直接衝突の危機は回避され得るだろうこと。

中国にとっては、トランプの関税賦課の脅しを、ディールの材料と捉えるか、或は、戦略の遂行ツールと捉えるか、当面、どう捉えれば良いのか困惑している。 更に米中共に、内政が変質して行く、そんな分岐点にもさしかかっている。

中国は共産主義全体主義から民族主義全体主義へと…。米国は左右の価値観が異なり、分断社会が益々修復困難になって行く。こうした、内政の変質も、当然、米中関係にも大きく反映されて行くはず…。

そのような状態の中、日本には、日本なりの当事者意識が求められるし、そうした米中対立を緩和する、日本なりの出口戦略を持っておくことが不可欠となるだろう。

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